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エンジンが停止した場合、最良滑空速度 (Best Glide) で飛ぶべきか、最小降下率速度 (Minimum Sink) で飛ぶべきか?

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エンジン停止時の着陸について考えるとき、頭の中にはさまざまなことがよぎるでしょう。たとえば、滑空距離内にある空港を探す、空港がなければ野外着陸地点を見つける、そして高度が尽きる前にエンジン再始動の最後の努力を試みることなどです。

エンジン停止時の着陸では、非常に重要な判断が求められます。しかし、チェックリストを完了し、エンジンが復活しないと判断した後は、エンジン停止時の着陸は 「飛行 (Aviate)、航法 (Navigate)、通信 (Communicate)」 という3つの基本に集約されます。


滑空距離の最大化か、滞空時間の最大化か?

エンジン停止時の着陸で最初に答えを出すべき質問は次のとおりです。
「できるだけ遠くまで滑空したいのか、それともできるだけ長く滞空したいのか?」

多くの場合、少なくとも最初は、滑空距離を最大化することを目指すべきです。
この場合、目標とすべき速度は 「最良滑空速度 (Best Glide Speed)」 です。


最良滑空速度 (Best Glide Speed) を維持すべき理由

どの航空機であっても、最良滑空速度は通常、機体の POH (パイロット・オペレーティング・ハンドブック) に記載されており、エンジン停止時の滑空を開始する際の最適な速度です。

最良滑空速度は、降下中の最良の滑空角 (glide angle) を提供します。
つまり、最良滑空速度を維持すれば、エンジンが停止した状態でも地面まで最長距離を移動することが可能になります。

ただし、最良滑空速度 (Best Glide Speed) について注意すべき点があります。
POH に記載されているほとんどの速度と同様に、最良滑空速度は 最大総重量 (Max Gross Weight) で計算されています。
そのため、重量が減ると、滑空距離を最大化する速度も若干低下します。
この変化はわずかですが、滑空性能を最大限に引き出したい場合、最大総重量よりも軽い場合には、やや低めの速度 を維持した方が有利になる可能性があります。


滞空時間の最大化

できるだけ長く空中に留まりたい場合は、最小降下率速度 (Minimum Sink Speed) で飛行する必要があります。
しかし、ここで問題があります。

⚠️ 最小降下率速度は、動力付き航空機ではほとんど公表されていない ことが多いのです。
ただし、次の方法で求めることができます。
➡️ 実際に自分の機体で試してみることです。


最小降下率速度と最良滑空速度の関係

最小降下率速度は、常に 最良滑空速度 よりも 低速 です。
これは、必要最低限の推力 (Power Required Curve) が必要なポイントに位置しているためです。

⚠️ ただし、最小降下率速度では 最良滑空速度よりもかなり遅い ことを忘れてはいけません。
そのため、滑空距離が大幅に短くなる という大きなデメリットがあります。

良好な着陸地点が真下にあり、エンジントラブルの解決やATC (航空交通管制) との交信のために滞空時間を最大化したい場合 でなければ、最小降下率速度 (Minimum Sink) よりも 最良滑空速度 (Best Glide) を維持した方が有利です。


🛬 着陸地点の選定:空港を優先

飛行機の設定 (Aviate) を終え、最良滑空速度で機体の姿勢とトリムを調整したら、次に行うべきは 「航法 (Navigate)」 で、着陸地点を見つけることです。


着陸地点の選択肢は2つ

  1. 空港への着陸

  2. 空港以外の場所 (野外着陸) への着陸

通常、可能であれば 空港への着陸 を最優先します。


📡 GPS搭載時の空港検索

GPS を搭載している場合 (パネルマウント型や ForeFlight などの EFB) には、「Nearest Airport (最寄り空港)」 機能で、近くの空港リストをすばやく表示できます。

空港を選んで 「ダイレクト (Direct-to)」 を設定すれば、滑走路までの距離がすぐにわかります。
次に考えるべきは、「そこまで滑空できるか?」 という問題です。
ここで 素早い計算 が必要になります。


✈️ 滑空距離の目安

一般的な GA (小型航空機) の場合、たとえば Cessna 172Cirrus SR-22 などは、1,000フィート (約300m) につき 約1.5マイル (約2.4km) 滑空できます。

📏 例:

  • 4,000フィート の高度からであれば、約6海里 (約11km) 滑空可能。

➡️ POH (パイロット・オペレーティング・ハンドブック) の 最大滑空距離チャート (Maximum Glide Chart) を確認するのがベストですが、手元にない場合は 「1,000フィートで1.5マイル」 という目安で、おおよその滑空距離を計算できます。


ForeFlight の「Glide Advisor」機能

もし ForeFlight の最新機能 「Glide Advisor」 を使用していれば、滑空可能な範囲内の空港をさらに素早く特定することができます。

📡 GPSなしの場合は?

では、GPS がない場合 はどうすればよいでしょうか?

時間があるなら、セクショナルチャート (Sectional Chart) を取り出してください。

滑空地点から最寄りの空港までの距離を測るための プロッター (Plotter) は手元にないかもしれませんが、チャートの 下部の距離目盛 (Distance Scale) を使えば、距離を測ることができます。


距離の測定方法

  1. 自分の位置 から 目的の空港 までの距離を 指で大まかに測定 します。

  2. その指の間隔を 距離目盛 (Legend) に移動して確認します。

  3. これで空港までの大まかな距離がわかります。
    ➡️ 簡単な方法で滑空可能な距離を把握できます。

 

✈️ 空港への接近時の対応

空港に近づいたら、着陸計画 を立てる必要があります。まずは 滑走路の選択 から始めます。
滑走路を選ぶ方法はいくつかあります。


1. ASOS で風情報を取得

  • ASOS (自動気象観測システム) の周波数を知っていれば、それを入力して風の状況を確認できます。


2. 風向確認:ウィンドソックを見る

  • 高度を保ったまま空港上空を旋回している場合、ウィンドソック (風向指示器) を見て風向を確認することもできます。


3. 最も簡単な方法:ATC との交信

  • しかし、さらに簡単な方法 があります。それは ATC (航空交通管制) に交信する ことです。


🎙️ ステップ3:通信 (Communicate)

パワーオフ・ランディングの最終ステップは 「通信 (Communicate)」 です。
空港に到達する前に少しでも時間があるなら、非常事態 であることを ATC に報告 しましょう。


🚨 まずはトランスポンダーを 7700 にセット

  • 7700 にスコーク すると、レーダー管制と交信中であれば、ATC のレーダースコープ上で警告が点灯します。
    ➡️ これで ATC があなたの位置を追跡し、緊急対応 の準備を始めます。


📡 次に ATC と通信:周波数の選択

  • ATC と交信できる場合、適切な周波数を使用します。

  • もし近くの センター (Center)フライトサービス (Flight Service) の周波数がわからない場合は、121.5 MHz (ガード周波数) に呼びかけます。


📡 121.5 MHz (緊急ガード周波数)

  • 121.5 MHz は、遭難中の航空機専用の周波数で、ほとんどの ATC 施設がこの周波数を監視しています。

  • ATC 圏内にいる場合、交信が届けば応答があるはずです。


✈️ 航空機がリレー通信の可能性も

  • ATC に交信が届かなくても、多くの エアライン機やビジネスジェット121.5 MHz をモニターしているため、上空を飛行中の機体に呼びかければ、ATC との情報伝達を中継してもらえる可能性があります。


📡 最後の手段:Flight Service の 122.2 MHz

  • それでも通信ができない場合、フライトサービス (FSS)122.2 MHz で呼びかけることもできます。
    ➡️ これが緊急時の 最終手段 です。

    🛬 滑走路へのタッチダウン準備

    空港に接近したら、高度に余裕があれば 空港の真上で旋回しながら降下します。
    ➡️ これにより滑走路の近くに留まり、通常の着陸体勢に入る準備ができます。


    1,000フィート AGL でダウンウィンドへ

    地上1,000フィート (1,000’ AGL) 付近で、着陸予定の滑走路の ダウンウィンド (downwind) に入ります。
    ⚠️ パターンはできるだけタイトに!
    ➡️ チャンスは1回しかないので、滑走路に確実に降りられるように、コンパクトなトラフィックパターン を維持します。


    🎯 タッチダウンの目標地点を決める

    タッチダウンの目標地点 (aiming point) を決めておくことで、ベースレグ (base leg) に入るタイミングが判断しやすくなります。


    ✈️ 目標地点の選び方

    滑走路を 3等分 して視覚的に分け、
    ➡️ 「1/3 と 2/3 の間の地点」 を目標地点として狙います。


    その理由

    • 滑走路の 手前でショート するリスクを回避できる。

    • それでいて 停止するための十分な距離 も確保できる。
      ➡️ これにより、安全かつ確実なタッチダウンを実現できます。

      ✈️ 目標地点に並行したらベースへターン

      目標地点に並行 (abeam) したら、ベースレグ (Base) にターンします。
      この時点で、通常のパターン速度に切り替えましょう。

      ⚠️ 滑走路に到達できることが確実なら、部分的にフラップを下げ始めます。


      🛬 ファイナルでのグライドパス調整

      ファイナルレグ (Final) に入ったら、滑走路へのグライドパス (Glide Path) を確認します。
      ➡️ この時点では通常の 3度のグライドパス よりも高くなりますが、エンジンが停止しているため、降下率は通常よりも速くなります。


      🎯 目標地点:滑走路の1/3地点

      この時点では、滑走路の1/3地点 をタッチダウンの目標として狙います。

      • 目標地点がウィンドシールド上で下に移動している場合:
        ➡️ 高度が高すぎる ことを意味します。
        ➡️ この場合、フラップを追加 するか スリップ して高度を落としましょう。

      ⚠️ ただし、フラップを追加する前には 滑走路に届くことが確実である ことを必ず確認してください。

      • 目標地点がウィンドシールド上で上に移動している場合:
        ➡️ グライドパスが低すぎる ことを示しています。
        ➡️ 滑走路に届くまではフラップを追加しないように注意 しましょう。


      🛑 滑走路のスレッショルド (Threshold) 通過時の注意

      滑走路のスレッショルド (進入端) を越えたら、安全なタッチダウンに集中します。
      ➡️ まだ目標地点を狙っていますが、高くて速度が出ている場合 は、目標地点を過ぎて 数百フィート先 に着陸する方が、安全に強引に着陸するよりも賢明です。


      🛬 空港以外への着陸時の選定

      空港に滑空できない場合 は、次善の選択肢 を選ぶ必要があります。
      ほとんどの場合、着陸可能な場所はいくつかの選択肢があります。


      🛡️ パワーオフランディング時の生存率を上げる2つのポイント

      1. 機体の一部を犠牲にして衝撃を吸収する

      • 翼、ランディングギア、胴体下部 など、壊れてもよい部分 を利用して減速させ、機体の コックピットとキャビン を可能な限り損傷から守る。

      1. シートベルトをしっかり締め、衝撃時の身体保護

      • タッチダウン時に体がコックピット内でぶつからないように、シートベルトをできるだけ締めて固定しておく。


      GA機の耐G性能

      ほとんどの GA (小型航空機) は、最大9Gの前方加速度 まで乗員を保護するよう設計されています。


      📏 速度と停止距離の関係

      • 時速50マイル (約80km/h) で飛行中の場合、9G減速 で必要な停止距離は約 9.4フィート (約2.9m)

      • 時速100マイル (約160km/h) なら、停止距離は 約37.6フィート (約11.5m) です。


      🤔 この距離をイメージしてみましょう

      37フィート (約11.3m) という距離は、機体の胴体長 より少し長い程度です。
      ➡️ つまり、適切に衝撃を吸収できれば、生存可能なクラッシュ距離は意外と短い ということです。

      着陸地点の選定
      着陸場所を探しているとき、よく見つかるのはフィールドや道路です。しかし、どちらもリスクが伴います。良い場所を選べば、着陸後に無事に歩き去る確率は非常に高くなります。

      姿勢と沈下率の制御
      オフエアポートでの着陸時、最も致命的なミスは航空機の姿勢と沈下率を制御しないことです。幸いなことに、着陸の瞬間まで両方をコントロールすることができます。

      どこであろうと、ノーズが下がったり水平な姿勢で着陸すると、機首が地面に突っ込んでしまうリスクがあります。これが原因で飛行機が転倒したり、急停止してしまい、単なる擦り傷や打撲以上の被害を引き起こす可能性があります。

      着陸前の急なバンク角度も同様に危険です。急なバンクをしていると、失速速度が大幅に高くなります。その上、翼を地面にぶつけると、飛行機が横転し、真っ直ぐに減速する着陸よりも生存性が低くなります。

      どこで着陸しても、風に向かってノーズを上げたまま、真っ直ぐに着陸する準備をすることが重要です。これにより、遅い地上速度で着陸でき、飛行機を使って自分を守ることができます。

      オフエアポートでの着陸時の航空機の設定
      オフフィールドで着陸する際、フラップはどうすべきでしょうか?フラップを使うことで、失速する前に低速で飛行できるため、これは明らかに良いことです。しかし、フラップはグライド距離を大幅に短くします。

      オフフィールドでの着陸の準備をする際、フラップを早く使いすぎないように非常に注意が必要です。そうしないと、どんなに計画がしっかりしていても、うまくいかず、望ましくない場所に着陸してしまい、適切な着陸地点に着陸できなくなる可能性があります。

      着陸装置の位置も考慮すべき点です。

      使用するかどうかに関する決まりはありませんが、引き込み式の着陸装置を持っている場合、選択肢がいくつかあります。

      もし、耕された畑のような柔らかい場所に着陸する場合、着陸装置を下ろしたままで着陸すると、着陸装置が土に食い込んで飛行機が転倒する可能性があります。しかし、硬い地面に着陸する場合、着陸装置を下ろすことで、着地の衝撃を和らげ、飛行機を完全に停止させることができます。

      オフエアポートでの着陸
      着陸する際、伝説的なパイロット、ボブ・フーヴァーの言葉を思い出してください。「強制着陸を迫られた場合、できるだけ事故の最深部まで飛んで行け。」

      完全に停止したら、すぐにやるべきことが二つあります。時間があれば、ELTを作動させて、捜索と救助チームに自分の位置を知らせます。そして、二つ目は、自分と乗客を飛行機から速やかに降ろすことです。

      良いパワーアウト着陸を実行するには、飛行機を完全に停止させ、最適な着陸地点を選び、ATCに自分の状況を伝えることが重要です。この三つをしっかり行えば、無事に歩いて帰れる着陸ができます。

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