これからの暑い季節に向けて、覚えておくべき優れたルール・オブ・サム(経験則)を3つ紹介します。
1)雷雨からは最低でも5マイル(約8km)離れること。可能なら20マイル(約32km)離れよう。
雷雲の中でも、特に張り出した部分(オーバーハング)から5マイル以内を飛行するのは危険です。
雹(ひょう)や激しい乱気流に巻き込まれるリスクがあり、機体にも乗客にも悪影響を及ぼします。
実際には、雷雨から20マイル離れていても、雹や激しいウィンドシア、強い乱気流に遭遇することがあります。
迷ったら、とにかく距離をとるのが鉄則です。
2)密度高度が1,000フィート上がるごとに、離陸滑走距離は約10%増える
暑い日には「密度高度(Density Altitude)」が高くなり、それに伴って航空機の性能が低下します。
多くの自然吸気式(ノーマリー・アスピレーテッド)の一般用航空機(GA機)では、密度高度が1,000フィート上がるごとに、離陸滑走距離が約10%長くなります。
たとえば、ある暑い日に空港の密度高度が標高より3,200フィート高くなっているとすると、ISA(標準大気)の日と比べて離陸滑走距離は約32%増加します。
ISA条件で1,500フィートの滑走距離が必要だった場合、この日は約2,000フィート近くまで伸びる計算になります。
3)風の強い日の着陸では、「ガストファクターの半分」を最終進入速度に加える
突風(ガスト)が吹く日の着陸では、失速のリスクに備えて、安全マージンを確保するためにガストファクターの半分を最終進入速度に加えるよう、FAA(米連邦航空局)は推奨しています。
たとえば、風速が18ノット、突風時は30ノットと報告されている場合、ガストファクターは12ノット(30−18=12)です。
この半分、つまり**6ノット(12÷2=6)**を進入速度に上乗せします。
これにより、予期せぬ風の変化にも安定して対応できる進入が可能となり、安全な着陸がしやすくなります。
具体的に言うと、私たちはシーラス機で最終進入速度を通常85ノットで飛行します。
したがって、ガストファクターが12ノットある日は、85ノットにその半分の6ノットを加え、最終進入速度は91ノットになります。
この計算方法は、どんな一般航空機(GA機)にも当てはまります。
最終進入速度に、ガストファクターの半分を加えるだけでOKです。
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