AOPAのNall Reportによると、固定ギア単発機の事故の40%近くが着陸時である。そして、その事故の大半は、風が要因となっているのです。
春=風が強い
春になると、1年のうちで最も風が強くなります。これは、夏に向けてジェット気流が北上し始め、それに伴って高気圧と低気圧が多数発生するためです。強い気圧配置(と気圧差)があると、風も強くなります。
ファイナルアプローチで対気速度を上げ、メーカーが推奨する速度よりも速く飛ぶと、通常、着陸が難しくなります。しかし、風の強い突風が吹いた日には、その通りにしてしまうのです。その理由を説明します。
なぜ速く飛ぶのか?
突風は変化しやすく、予測不可能なものです。
突風の日にフライトすると、対気速度インジケータがかなり乱高下することがあるのはご存知でしょう。パターンでは、遅すぎるより、少し速い方が良いのです。
理由は簡単で、ファイナルアプローチでスピードが出ていたり、少し遅かったりすると、突風による向かい風の急な喪失で、思うように失速速度に近づけないことがあるからです。そのような事態は避けたいものです。
では、どうすればいいのでしょう?スピードを上げることです。FAAが推奨しているのは、以下の通りです。
どのくらい速くすればいいのか?
FAAは、突風の日には、最終アプローチの速度に突風係数の半分を加えることを勧めています。
例えば、風速18ノット、ガスト30ノットの場合、ガストファクターは12ノット(30-18 = 12)です。そこで、ガスト係数の半分を取ると、6ノット(12/2=6)となります。
そう、数学なんです。でも、飛行機の中でできる本当に簡単な計算なんです。
例えば、SR-22T(Gen5)の場合、シーラス社はファイナルを80ノットで飛ぶように推奨しています。つまり、12ノットのガストがある日は、公表されている80ノットに6ノット追加して、86ノットのファイナルアプローチ速度になるわけです。
Add comment