無事にサンフランシスコにたどり着き 学科試験にも合格。
順調にフライト訓練のスケジュールを消化している頃
いよいよ待ちに待った初のナイトフライト訓練日になりました。
夜、セスナは飛べないとお考えの方もおみえになるようですが、有視界飛行の法規定内に夜間飛行の制限はありません。
一定の視程が確保できていれば夜も また、雨天でも飛行は可能なのです。
その日の夕刻 日が沈み始め、空が赤く染まった頃 懐中電灯を片手に機体の外部点検、エンジンスタート前の機内点検、そしていよいよエンジンスタート!
その頃には外はすっかり闇の世界です。
タクシング・ライトを点灯し タワーからのクリアランスをもらいランウェイへと機を進めます。
いよいよ離陸です。
タワーからの離陸の許可が出ました。
フルパワーで滑走路から脚が離れ上昇。
訓練でいつも見慣れているはずの そこにあるはずの景色は全く違う景色でした。
あえてキザな表現をすれば…
「黒いビロードの絨毯のうえに百万個の宝石をばらまいた」 ような景色。
感動で胸が震えました。
それまでの人生で経験したことのない素晴らしい感動で自然に涙があふれました。
まさに100万ドル以上の夜景が僕の前にひろがっていました。
アメリカのほとんどの家についている門灯は蛍光灯ではなく橙色をした白熱灯です。
また、幹線道路やフリーウェイを照らす街灯もオレンジ色をしています。
それらの灯がサンフランシスコ湾を囲む平野部分から平地を囲む丘陵地帯へと続きます。
その中を家路を急ぐ車のライトの帯が連なります。
ぜひ 機会があれば経験してください。
あの感動を今も忘れることができません。
僕は免許を取得後も好んでナイトフライトをしています。
特に日本からお客様がお見えになったときには必ずといって良いほどナイトフライトにお誘いしています。
いつも感心するのは フライト中、管制官に「ベイツアー(サンフランシスコ遊覧飛行の意)」を伝えるとよほどの事が無い限りこちらの意向を汲んでくれます。
最高のフライトをアシストしようとしてくれる懐の深さとエンターテイメント性。
僕もその徹底したサービス精神を見習いたいと思います。
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